子どもにかける教育費

子どもの教育費|幼稚園〜大学まで

子どもの教育費は、幼稚園から大学までの教育費は全体的に増加傾向にあり、特に私立の学校に通う場合は高額になります。

ここでは、幼稚園から大学までのそれぞれで教育費を見ていきましょう。

幼稚園の教育費

令和3年度の幼稚園教育費は、公立で472,746円、私立で924,636円となっています。

平成22年度のデータである公立で662,340円、私立で1,610,918円と比較すると、公立・私立ともに減少傾向にあります。

大きく減少したのは令和に入ってからであり、令和元年10月から始まった幼児教育・保育の無償化政策の効果が表れていると考えられます。

参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について

小学生の教育費

令和3年度の小学校の教育費は、公立で2,112,022円、私立で9,999,660円となっています。平成22年度から令和3年度にかけて、公立・私立ともに増加傾向に。

幼稚園までは公立・私立による教育費の差は2~3倍ほどとなっていましたが、小学校ではその差は4倍近くなっています。これは、小学校は6年間と長く通うため、1年ごとの差が積み重なって大きな差が生まれていると考えられます。

参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について

中学生の教育費

令和3年度の中学校の教育費は、公立で1,616,317円、私立で4,303,805円です。

小学校と同様に、平成22年度から令和3年度にかけて増加傾向が見られます。私立中学校の教育費は私立小学校ほどではありませんが、依然として高い水準にあると言えるでしょう。

参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について

高校生の教育費

令和3年度の高等学校(全日制)の教育費は、公立で1,543,116円、私立で3,156,401円となっています。

平成22年度から令和3年度にかけて、公立・私立ともに増加傾向にあります。高校生の教育費は、中学生までと比べると伸び率は緩やかですが、着実に増加しています。

参考:令和3年度子供の学習費調査の結果について

大学生の教育費

令和3年度の調査によると、大学の入学費用は全体の平均で81.1万円、年間の在学費用は149.9万円となっています。

ただしこれはあくまで全体の平均。国公立大学、私立大学それぞれで見ると大きな差があることが分かります。

例えば国公立大学の場合は入学費用に67.2万円、一年あたりの在学費用で103.5万円。

一方私立大学の場合、文系で入学費用が81.8万円、在学費用が152.0万円に。理系の場合は入学費用が88.8万円、在学費用が183.2万円となっています。

いずれにせよ、国公立大学と比べて高額です。

参考:令和3年度「教育費負担の実態調査結果」

子ども1人あたりの年間教育費の推移

子供の数と一人当たりの年間教育費の推移

子どもの教育費が増えている背景

近年子ども一人あたりの教育費は増加傾向にありますが、主な理由としては以下が挙げられます。

  1. 少子化により教育費が集中している
  2. 学校外教育に対する意識が高まっている
  3. 教育カリキュラム・試験が難化している

背景1. 少子化により教育費が集中している

近年、少子化の影響により一人の子どもに対する教育費が増加傾向にあります。子どもの数が減る一方で、親の教育に対する意識は高まっており、一人ひとりの子どもにより多くの教育投資を行う傾向が見られます。

背景2. 学校外教育に対する意識が高まっている

教育費の多寡が子どもの学力に直結すると考える親が増えており、学校教育だけでなく、塾や習い事など学校外の教育にも力を入れる家庭が増えています。

具体的には、ソニー生命保険株式会社が2024年に発表した「子どもの教育資金に関する調査2024」では、「子どもの学力や学歴は教育費にいくらかけるかによって決まると感じる」に「あてはまる」と答えた親が全体の約65%とされています。

子どもの可能性を最大限に引き出すために、質の高い教育を求める意識が高まっているのです。

背景3. 教育カリキュラム・試験が難化している

近年の教科書改訂以降、定期テストの難易度が上がっています。

それに伴い、高校・大学の入試問題も難化傾向にあります。さらに、大学の学部の細分化や新設により、受験科目が多様化し、一人ひとりに合わせた対策が必要となってきました。

こうした教育環境の変化も、教育費増加の一因となっています。

参考:学習塾「定期テスト難化」6割…課題の教科トップは英語

教育費増加による塾業界への影響・予測

上述のように、近年子ども一人に対する教育費は増加傾向にあります。このようなトレンドでは、塾業界へどのような変化が起きるのでしょうか。

ここでは、塾業界への影響を予想し、3つのポイントに絞り紹介していきます。

  1. 個別指導塾への需要が拡大
  2. 一人ひとりに合わせたプランが望まれる
  3. 付加価値創出のためのICT導入が進む

影響1. 個別指導塾への需要が拡大

教育費の増加傾向に伴い、子ども一人ひとりに合わせた指導を行う個別指導塾へのニーズがさらに高まっています。

集団指導では対応しきれない、個々の学習ペースや理解度に応じた指導が求められており、この傾向は今後も続くと予想されます。

影響2. 一人ひとりに合わせたプランが望まれる

教育カリキュラムや試験の多様化により、受験対策も一人ひとりに合わせたものが必要とされています。

この点において、事例の豊富な大手個別指導塾が有利。様々なタイプの生徒を指導してきた経験から、個々の特性に合わせた最適な学習プランを提案することが可能です。

影響3. 付加価値創出のためのICT導入が進む

少子化の影響で塾の顧客数は減少傾向にあり、単に生徒数を増やすだけでは収益を維持することが難しくなってきています。

そのため、付加価値を高め、一人ひとりの生徒から得る単価を上げることが重要になります。その鍵を握るのがICTの活用です。

AI技術を用いた学習システムなど、テクノロジーを駆使した革新的なサービスを提供することが差別化につながります。

ただし、ICT導入にはシステム開発や設備投資など相応の資本力が必要です。この点でも、大手塾がリードしていくことになるでしょう。