塾業界の現状と今後の展望|市場規模やトレンド、生き残る方法は?

学習塾は子どもの学力向上に大きな役割を果たしてきました。

しかし昨今、少子化や教育のデジタル化など、学習塾を取り巻く環境は大きく変化しつつあります。そんな中、業界はどのように変化し、これからどう展望していくのでしょうか。

本記事では、2024年〜2025年の学習塾業界の市場動向を中心に、現状と今後を見通していきます。

本記事で解説しているポイント
  • 塾業界の市場動向
  • 熟タイプ別の動向トレンド
  • 塾業界の今後の展望予想
  • 今後の塾業界で生き残るためのポイント
  • 塾業界の動向チェックに役立つ情報

学習塾業界全体の市場動向【2024・2025年】

2024年、2025年の学習塾業界の動向に関する主なポイントは以下のとおりです。

  • 全体の市場規模は拡大中
  • 事業者数は横ばい・事業所ごと売上高は上昇
  • 大手塾・特化塾へ二極化

全体の市場規模は拡大中

三井住友銀行が発表した「学習塾業界を取り巻く事業環境と今後の方向性」によると、学習塾業界の市場規模は、近年拡大傾向にあります。市場が拡大している主な要因は以下の3点です。

1点目は、一人当たりの教育費が上昇していること。少子化で子どもの数は減る一方、親の教育熱心さは衰えず、子ども1人に投じる教育費は増加傾向にあります。

2点目は、学校の授業だけでは学習意欲の低下した子どもたちをフォローしきれないこと。学習塾が補完的な役割を担う必要性が高まっているのです。

3点目は、教科書の改訂など学習内容の難易度が上がっていること。特に英語は学習語彙数が大幅に増え、塾の早期からの指導がより重要になっています。

このような理由から、学習塾業界の市場規模が拡大していると考えられます。

事業所数・売上高は上昇

経済産業省が発表している「特定サービス産業動態統計調査」によると、2023年の学習塾の事業所数は11,433事業所でした。

5年前の10,395事業所に比べて約10%の上昇と、増加傾向にあります。

売上高も2023年は約5,812億円と前年比約4%増で、10年前の約4,041億円に比べては約44%増となっています。順調に拡大していると言えるでしょう。

大手塾・専門塾へ二極化

この競争の中で業界は二極化が進んでいます。

一方は大手塾です。圧倒的な合格実績とノウハウの蓄積があり、幅広いニーズに対応できます。

もう一方は特定分野に特化した専門塾です。医科大学受験専門塾など、ニッチな需要を的確に捉えています。

ただし事業者間の競争は激しさを増しており、各塾が生徒のニーズを捉え、独自の強みを発揮していくことが求められるでしょう。

塾業界の市場動向トレンドを塾タイプ別に解説

塾業界の市場動向トレンドを、塾の種類別に取り上げていきます。

  • 個別指導塾市場は拡大中
  • 集団指導塾市場は縮小傾向

個別指導塾市場は拡大中

「学習塾の現状と今後」によると、学習塾における個別指導塾の市場シェアは拡大の一途をたどっています。

2009年には31.0%だったシェアは、2017年には37.0%にまで増加しました。

この個別指導塾市場の拡大には、主に3つの要因が考えられます。

要因1. 少子化による一人当たりの教育費増加

「学習塾の現状と今後」によれば、かつての典型的な家庭は「一家に子ども2人、母親は専業主婦」でしたが、現在は「一家に子ども1人、共働き」というケースが増えてきました。

これにより子ども一人当たりの教育費は増加傾向にあり、手厚い教育を望む親は個別指導塾を選ぶ傾向にあるようです。

要因2. 教育カリキュラムの難化

また、教育カリキュラムの難化も個別指導塾人気の背景に。カリキュラムが難化しているなかで、子ども一人ひとりの理解度に合わせた指導を求める保護者がより増加していると考えられます。

株式会社NEXERが発表した調査によると、「個別指導の方がいい」と答えた保護者は全体の過半数でした。

理由として「個人の能力、進捗に合わせた指導ができるため」、「子どもの進捗状況を把握して教えてくれる。わからないところを聞きやすい。」を挙げるなど、個別指導は一人ひとりのニーズに合っていると考えている保護者が存在していることがわかります。

要因3. 学部の多様化・入試改革

学部の多様化と入試改革も個別指導塾市場の拡大要因として挙げられます。

「学習塾の現状と今後」では「情報・環境・国際・地域・総合・政策等のキーワードを組み合わせた様々な名称の学際的な学部が新設、又は既存学部の改組により設置されている」と指摘されているように、近年では学部の新設が進んでいます。

それに合わせて多様化する生徒のニーズに合わせた指導が求められる中、個別指導塾の需要が高まっているものと推察されます。

集団指導塾市場は縮小傾向

一方、集団指導塾の市場は縮小傾向にあります。

「学習塾の現状と今後」p.21によると、2009年に学習塾全体に対するシェア率69%を誇っていた集団指導塾は、2017年には63%へと減少。

集団指導塾から個別指導塾へのシフトが進んでいます。

要因. 個別指導塾人気の影響

集団指導塾が下降トレンドにある要因は、個別指導塾への人気が増えているからと考えられます。

上述のとおり「個別指導の方がいい」と答えた保護者は全体の過半数であるなど、集団指導から個別指導へとシフトする生徒が増加傾向にあることがわかります。

塾業界の今後の展望予想

塾業界の今後の展望としては、主に以下のような点が予想できます。

  • 客単価は向上・集客は激化する
  • 講師の採用難易度も向上していく
  • 大手塾・特化型塾への二極化はさらに進む
  • IT×教育の「EdTech」が普及していく

客単価は向上・集客は激化する

今後、少子化はさらに進行すると予想されています。

しかし、それは必ずしも塾業界の衰退を意味するわけではありません。なぜなら、子ども一人当たりの教育費は増加傾向にあるからです。

塾業界は、この教育費増加を追い風に付加価値の高いサービスを提供することで客単価を上げていくでしょう。

一方、少子化の影響で全体の生徒数は減少するため、各塾は集客により一層力を入れる必要があります。結果として、客単価の向上と集客の激化が同時に起こることが予想されます。

講師の採用難易度も向上していく

文部科学省の調査によれば、大学生の数自体は大きく減少していません。

しかし少子化で顧客の絶対数が下がる中、売上を維持・拡大するために客単価を上げていく方向に進化していく以上、高い指導力を持つ講師の確保が欠かせません。

優秀な講師の争奪戦は、今後ますます激しさを増していくでしょう。

大手塾・特化型塾への二極化はさらに進む

業界の二極化も、さらに進行すると考えられます。一般的な学習塾や進学塾の場合、資本力とブランド力を持つ大手塾が市場を寡占する可能性が高いと考えられます。

大手は、新たな教育カリキュラムにも素早く対応できるリソースを持っています。

一方、小規模な塾はリソースが限られているため、ニッチなニーズに対応しきることは難しいでしょう。

その一方、「医学部受験特化」など特定の科目や受験に特化した塾も増えていくでしょう。

寡占が進む市場の中、新規事業者が勝利するためにはセグメントを絞ることが定石。その傾向は今後も衰える可能性が低いと考えられます。

IT×教育の「EdTech」が普及していく

Try ITに代表される映像授業サービスなど、ITを活用した教育サービス「EdTech」の台頭も見逃せません。

学習塾業界でも、テクノロジーを活用してサービスの強みを作り出すことが求められます。ここでも、開発力のある大手塾が優位に立つことになりそうです。

事実、トライグループでは資本力とこれまでの指導実績に基づく膨大な学習データを活かして独自のAI学習プログラムを開発しています。

この動きは大手だからこそできるものであり、資本・サンプルデータ数に限りがある小規模事業者では厳しいと言えます、

このように、客単価向上、講師の確保、大手・特化型塾への二極化、EdTechの取り込みなどの課題にいかに対応できるかが、各塾の明暗を分けることになるでしょう。

今後の塾業界で生き残るためには

塾業界の変革期を乗り越え、生き残りを図るにはどうすればよいのでしょうか。ここでは4つの方向性を取り上げていきます。

  1. フランチャイズで大手塾の傘下に入る
  2. ニッチなニーズに絞った特化型塾にする
  3. コンセプト・集客に力を入れる
  4. 付加価値を作り、客単価を向上させる

フランチャイズで大手塾の傘下に入る

大手塾のフランチャイズとして経営することで、ブランド力や教育ノウハウ、集客力を活用できます。

資本力に乏しい個人塾にとっては、安定した経営を続けるための選択肢の一つと言えるでしょう。

ニッチなニーズに絞った特化型塾にする

特定の教科や受験に特化することで、差別化を図るのも有効です。

例えば、英語に特化した塾や、医学部受験に特化した塾など。ニッチな需要を的確に捉えることで、競合との差別化が可能になります。

コンセプト・集客に力を入れる

塾選びの基準は多様化しています。そこで重要になるのが、塾のコンセプトづくりです。

例えば「自主性を育てる」など、特定の層から選ばれるためのコンセプトを打ち出しましょう。

また、子どもの数が減る中、集客により一層力を入れる必要があります。ウェブ広告や口コミマーケティングなど、効果的な集客方法を模索することが欠かせません。

付加価値を作り、客単価を向上させる

生徒数の確保が難しくなる中、一人当たりの単価を上げることも重要な戦略です。

「独自の学習システムがある」「特定の受験に特化している」など、付加価値を高めることで客単価のアップを目指しましょう。

塾業界の動向を掴むのに確認しておきたい情報

塾業界の動向を把握するには、以下の2つの情報源を確認しておくことが有効です。

教育カリキュラム・政策の変化

学習指導要領の改訂など、教育カリキュラムや政策の変化は塾業界に大きな影響を与えます。

文部科学省の公式サイトなどで最新の情報をチェックしておきましょう。

教育に関する統計情報

経済産業省や文部科学省などが発表する公式統計を確認し、傾向を掴んでおくことも大切です。

特に注目すべきは「子ども一人当たりの教育費の推移」や「子どもの数」など。塾経営にダイレクトに影響する数値となります。

変革期の塾業界を生き抜くならトライプラスのフランチャイズ

少子化や教育改革など、塾業界は大きな変革期を迎えています。

この激動の時代を乗り越え、生き残りを図るには、万全の準備と対策が欠かせません。しかし、校舎運営から経営までを一人で担うのは、容易なことではありません。

このような時代に低リスクで開業するなら、大手学習塾ブランド「トライプラス」のフランチャイズがおすすめです。

「トライ」ブランドの高い知名度を活かした集客サポートや、独自の学習プログラムの提供、33万人の登録講師からの採用サポートなど、経営面を手厚くバックアップしてくれます。

こうした充実したサポート体制があるからこそ、経営リスクを最小限に抑えつつ、自分の理想とする塾経営を実現することが可能です。

学習塾の開業を検討されている方は、ぜひお問い合わせください。

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