個別指導塾を開業!集団塾よりも始めやすい理由や準備の流れを解説

近年、教育ニーズの多様化に伴い個別指導塾の需要が急速に高まっています。

本記事ではなぜ今個別指導塾が選ばれているのか、その開業方法や成功のポイントについて詳しく解説していきます。

本記事で解説しているポイント
  • 個別指導塾の開業が増加している理由
  • 集団指導塾より個別指導塾を選ぶべき理由
  • 個別指導塾は儲かるのか
  • 開業資金はどの程度必要か
  • 開業する流れ
  • 成功させる方法

個別指導塾の開業が増加している理由

教育産業において、個別指導塾市場は着実な成長を続けています。

2010年から2019年にかけて、小中高生の人口が1,390万人から1,280万人へと減少する中、個別指導塾の市場規模は3,900億円から4,510億円へと拡大。市場は年間約60億円ずつ成長を続けています。

ここではまず、その理由について解説していきます。

参考:教育業界の現状

少子化で一人あたりの教育費が増加しているため

少子化の進行により、教育市場全体の縮小が懸念される一方で、教育費への投資は逆に増加傾向にあります。

これは、一人っ子世帯の増加により、子ども一人あたりにかけられる教育費が増加していることや、教育の質を重視する家庭が増えていることが背景にあります。

実際、1970~1980年代では2~10万円程度だった子ども一人当たりの教育費は、2017年には37.1万円にまで上昇しています。

参照:子どもの減少と相反する 一人あたり教育費の増加 内「家計調査」「人口推計」「住民基本台帳」(総務省)より作成された表

特に、受験競争の激化や教育の多様化により、より質の高い個別指導へのニーズは高まる一方です。

保護者は子どもの個性や学力に合わせた最適な教育環境を求めており、それに応える個別指導塾への支出は、家庭の教育費の中でも重要な位置を占めるようになってきています。

一人ひとりに合わせた指導のニーズが高まっている

新学習指導要領の導入や入試制度の多様化により、教育現場は大きな転換期を迎えています。

特に、思考力・判断力・表現力を重視する現代の教育において、従来の集団指導では十分な対応が難しくなっており、生徒一人ひとりの理解度や学習スタイルに合わせた個別指導の重要性が高まっています。

また、特別な配慮が必要な生徒への対応も、個別指導塾であれば柔軟に行うことが可能です。

加えて、新しい教育カリキュラムや多様化する入試制度に対して、集団塾では柔軟な対応が困難になるケースも増えており、個別指導塾への期待は年々高まっていると言えます。

初期費用や資格など開業の障壁が低いため

個別指導塾は、集団塾と比較して開業のハードルが低いことが特徴です。

教室の規模を小さく抑えられることから、初期投資を最小限に抑えることが可能で、リスクを抑えた形での開業が可能になっています。

また、特別な資格も必要なく、教育への情熱があれば誰でもチャレンジできる業態です。フランチャイズシステムを活用すれば、教材やノウハウも含めて包括的なサポートを受けられるため、未経験者でも安心して開業できます。

少ない生徒数でも運営しやすいため

個別指導形式では、少人数からでも効率的な運営が可能です。生徒数に応じて講師を柔軟に配置できるため、固定費を抑えながら、段階的な事業拡大を図ることができます。

一方、集団塾では生徒数がある程度集まらなければ開講が難しい上に、講師一人あたりの生徒数が少ないうちは人件費のコストパフォーマンスが悪くなってしまいます。

小規模で運営するのであれば、まず個別指導塾を選ぶべきだと言えるでしょう。

フランチャイズが充実しているため

小規模でも開業しやすい個別指導塾はフランチャイズブランドも豊富です。

フランチャイズでは、教材やカリキュラムの提供だけでなく、講師採用のサポートや生徒募集のノウハウまで、経験のない方でも成功に導くためのシステムが確立されています。

さらに、ブランド力を活かした集客や、本部からの継続的なサポートにより、安定した経営を実現することが可能です。特に開業後の運営面では、独立開業では得られない様々なメリットを享受することができるのです。

集団塾より個別指導塾の開業を選ぶべき

学習塾には大きく分けて、複数の生徒に一斉指導を行う集団塾と、1対1や少人数で指導を行う個別指導塾があります。

集団塾は効率的な指導が可能である一方、個々の理解度に合わせた指導が難しいという課題があります。一方、個別指導塾は、生徒一人ひとりの学力や目標に応じた柔軟性の高い指導が可能で、教育ニーズが多様化している現代により適合しているといえます。

集団塾から個別指導塾への転換が進んでいる

株式会社成学社が2023年に公開した「学習塾の現状と今後」によると2009年には個別指導塾のシェア率は31.0%であったのに対して、2013年には33.4%、2017年には37.0%になっています。

このように、教育市場では集団塾から個別指導塾のシフトが継続的に起きています。

理由としては、教育カリキュラムが難化し入試も多様化しているため、一人ひとりのニーズに合わせた柔軟な指導が求められていることが挙げられます。

新規開業を考える場合も、このような市場動向を踏まえ、個別指導塾を選択することで、より持続的な経営が可能となるでしょう。

個別指導塾の経営は儲かる?年収目安や収益モデル

個別指導塾の収益性は、生徒数と講師の稼働率によって大きく変動します。参考として「トライプラス」の収支イメージを見てみましょう。

月次平均生徒数 40人 70人 100人
収入 入会金 387,750 717,750 1,047,750
授業料 月謝 11,107,565 20,194,597 29,810,927
講習料 5,445,593 8,702,389 12,239,808
その他 604,609 1,117,751 2,692,692
[A]収入合計 17,545,517 30,732,487 44,791,177
支出 講師給与 4,316,197 7,560,192 11,018,630
教材・模試仕入 255,520 472,160 688,800
求人費 165,000 264,000 363,000
地代家賃 2,640,000 2,640,000 2,640,000
水道光熱費 360,000 410,000 460,000
通信費 240,000 360,000 480,000
システム費 132,000 132,000 132,000
広告宣伝費 1,754,552 3,073,249 4,479,118
ロイヤリティ 1,592,750 2,798,466 4,081,738
その他 765,600 1,207,402 1,447,517
[B]支出合計 12,221,619 18,917,469 25,790,802
[A-B]営業利益 5,323,898 11,815,018 19,000,375

年収については経営者の采配によるため一概には言えないものの、営業利益としては生徒数が40人の場合でも500万円以上は確保できるイメージとなります。

ただあくまで目安にはなるため、立地条件や競合の状況などを考慮した上で想定しておきましょう。

個別指導塾の開業資金は約500万円から

個別指導塾の開業には、一般的には約500万円程度の初期投資が必要です。

ここでは、開業に必要な具体的な費用項目とその内訳について解説していきます。

1.内装工事費(約200~250万円)

  • 防音設備の設置
  • 照明・空調設備の整備
  • コンセント増設工事
  • 間仕切り工事

2.備品購入費(約100~150万円)

  • 学習用具(机、椅子、ホワイトボード)
  • 事務用品(受付カウンター、書棚)
  • 電子機器(PC、プリンター、タブレット)
  • 学習教材一式

3.広告宣伝費(約50~100万円)

  • 看板設置費用
  • チラシ制作・配布費用
  • ウェブサイト制作費用
  • オープニングキャンペーン費用

4.運転資金(約100~150万円)

  • 家賃(3ヶ月分)
  • 人件費(講師料、スタッフ給与)
  • 光熱費・通信費
  • 予備費

入会金など即金性が高い項目はあるものの、塾の場合ほとんどの収入は月謝・季節講習費用となります。開業後すぐに収益が見込めるとは限らないため、最低でも3ヶ月分の運転資金は用意しておきましょう。

なお、「トライプラス」のフランチャイズでの開業資金イメージは以下の通りです。

<個別指導塾トライプラス 初期投資概算金額>

項目 金額(税抜)
加盟金 3,000,000
PC、タブレット、複合機、etc 1,000,000
システム費、教材費、印刷物一式 800,000
合計 4,800,000

低開業資金の学習塾ビジネス

開業資金を準備する方法|補助金・助成金も紹介

個別指導塾の開業には500万円程度の資金が必要ですが、全額を自己資金で賄うことは難しい場合も多いでしょう。

開業資金の調達方法としては、以下のような選択肢があります。

1.日本政策金融公庫の創業融資

  • 創業計画書の作成が必要
  • 最大7,200万円まで融資可能
  • 創業前でも対象となる場合あり

日本政策金融公庫の創業融資は、創業を考える方のための公的融資制度です。金利が比較的低く担保が不要な場合も多いため、開業資金の調達手段として有力な選択肢となります。

2.民間金融機関からの融資

  • 事業計画書の提出が必要
  • 担保や保証人が必要な場合が多い
  • 日本政策金融公庫との協調融資も可能

民間金融機関からの融資はより詳細な事業計画や担保を求められる場合が多いものの、日本政策金融公庫の創業融資よりも金利が低くなることも。検討する価値は十分にあります。

3.補助金や助成金の活用

  • 地域雇用開発助成金(地域雇用開発コース):雇用が難しい地域で事業を立ち上げ、地域の求職者を雇用する場合に支給される助成金
  • 小規模事業者持続化補助金:商工会議所地区で事業を立ち上げ、運営する小規模事業者を対象とした補助金

自身のケースに合わせて、適したものを検討していきましょう。

個別指導塾を開業する形式

個別指導塾の開業にはさまざまな選択肢があるため、事業者の状況や目標に応じて最適な形式を選択することが重要です。

以下の3つの主要な開業形式を詳しく見ていきましょう。

  • 物件を契約して開業する
  • 自宅の一部を教室として開業する
  • オンライン塾として開業する

物件を契約して開業する

物件を契約で開業する方法は最も一般的な方法。

独立した教室を持つことでカスタマイズした学習環境を整えることができる上に、生徒や保護者に信頼感を与えることもできます。

ただ、物件選びは、立地、広さ、設備などさまざまな視点から慎重に検討する必要があります。

なおフランチャイズでは、サポートを受けつつ立地選びや設備の準備を効率的に進めることができます。

フランチャイズ本部は開校のノウハウが豊富であり、具体的なアドバイスを提供してくれる、あるいは代行してくれるためです。

自宅の一部を教室として開業する

自宅の一部を教室として活用するのは、初期投資を最小限に抑えながら個別指導塾を始められる方法です。

既存の空間を教育の場として再利用できるため、家賃などの固定費を大幅に削減できます。

ただプライベート空間との区別はしておく必要があるため、開業前に「ここは塾のスペース」「ここは生活スペース」と分割しておきましょう。

オンライン塾として開業する

オンライン塾は、地理的なハードルを超えられる近年普及しつつある形態です。

ZoomやLINEなどのコミュニケーションツールを活用することで、より広いエリアの生徒にアクセスすることが可能です。

一方で、遠隔指導には対面授業とは異なるコミュニケーションスキルが求められます。

リモートでも生徒と関係を構築する方法を用意しておくことやオンライン指導の技術を磨くことが、オンライン塾成功の重要な要素になるでしょう。

個別指導塾を開業する流れは?

個別指導塾に限らず、開業には綿密な準備と計画が不可欠。個別指導塾を開業する主な流れは以下の通りです。

  1. コンセプトと事業計画を立てる
  2. 開校エリアを絞り込む
  3. 物件を選定する
  4. 開校準備を進める
  5. 開校してさらなる成長を目指す

それぞれを丁寧に進めることで、安定した個別指導塾の運営が可能に。

詳しくはこちらの記事で解説していますので、ご参照ください。

学習塾を開業!準備の流れや収支イメージ、成功事例を紹介

塾講師を効率的に採用する方法

個別指導塾において、質の高い講師を採用することは成功の鍵。優秀な講師は生徒の学習意欲を高め、塾の評判を左右する重要な存在であるためです。

ここでは効率的かつ効果的に講師を採用するためのアプローチを紹介していきます。

採用方法 メリット デメリット
求人サイト 広範囲に募集可能 マッチング精度が低い
コストが高い
紹介採用 信頼性が高い
コストは低い
人材が限定的

個別指導塾の場合、知識だけでなく生徒とのコミュニケーション能力や指導への熱意を重視しておきましょう。

個別指導塾の開業を成功させる方法

塾を立ち上げるだけでなく、持続可能な事業として成功するためには、いくつかの重要なポイントがあります。以下に、成功への道筋を紹介していきます。

  1. 余裕を持った資金・経営計画を立てておく
  2. チラシなど地域特化のマーケティングから始める
  3. 自分の塾だけの強みを整理しておく

1. 余裕を持った資金・経営計画を立てておく

個別指導塾の開業は通常の企業経営と同様に、初期投資と運転資金に関する慎重な計画が求められます。

予期せぬ支出や収入の変動に対応できるよう、十分な資金的余裕を持つことが重要。

事業の立ち上げ期は収入が安定しないことを想定し、6ヶ月から1年分の運転資金を確保しておくと安心です。

経営計画には、月々の固定費、講師の人件費、広告宣伝費、設備投資などを詳細に盛り込みましょう。

また、楽観的には想定せず最悪の事態を想定した上で堅実な計画を立てる必要があります。

2. チラシなど地域特化のマーケティングから始める

実際に通ってもらう必要がある個別指導塾には、地域に密着したマーケティング戦略が極めて重要です。

弊社トライプラスのフランチャイズオーナー様も「ポスティングで一軒一軒ご近所を回った」(「自分流の教室を作ってみたい」若きオーナーの誕生!)と語るように、地道なアプローチも時には必要です。

チラシ配布は、ターゲットとなる地域の家庭に直接アプローチできる効果的な方法。ただ足で稼ぐ配布にとどまらず、地域の特性・ニーズを分析しそれに合わせたメッセージや提供価値を明確にすることが成功のポイントとなります。

3. 自分の塾だけの強みを整理しておく

開業を成功させるには、自分の塾だけの強みを整理し、メリットを訴求していくことが重要です。

他の塾にない独自の強みを明確にし、それを積極的に PR することで、価格以外の要素で選ばれる塾を目指しましょう。

「初月無料」「教材費負担」などの価格競争に巻き込まれると、経営的に苦しい場面を迎え、十分なサービスを提供できなくなる可能性があります。単純な安さではなく、質の高い指導や独自のサービスによって差別化を図ることが重要です。

個別指導塾の開業に関するよくある質問

ここからは個別指導塾の開業を考えている方から寄せられることの多い質問に回答していきます。

自宅やレンタルオフィスでも開業できる?

自宅やレンタルオフィスでの個別指導塾開業は、十分に現実的な選択肢です。

初期投資を抑えながら、柔軟な運営が可能となるため、初めて開業する方にもおすすめです。

自宅利用の場合はプライバシーの確保と学習環境の整備が課題となりますが、レンタルオフィスは、固定費を比較的抑えつつ学習空間を確保できます。

ただ、レンタルオフィスの場合は継続して使用すると費用が高額になります。個別指導塾の場合は定期的に通ってもらう必要があるため、通常の店舗型ビジネスと同じように物件を借りたほうが安くなるでしょう。

学習塾を開業するにはいくら必要?

個別指導塾の初期投資は、開業形態によって大きく異なりますが、一般的な目安は以下のようになります。

開業形態 初期投資の目安 主な投資内容
自力で開業する 約300万~500万円 家賃、設備、教材
フランチャイズで開業する 約500万円~(会社による) 家賃、設備、教材、加盟金

注意すべきは、単純に初期費用だけで比較すると危険だということ。フランチャイズの場合、コールセンター代行など周辺業務を巻き取ってくれることもあるため、総合的に判断しておきましょう。

個別指導塾の開業ならトライプラスのフランチャイズ

個別指導塾の開業は、教育ビジネスの中でも今最も市場的に需要が高まっている事業形態。比較的参入しやすい一方、競合も多く成功には綿密な計画が必要です。

「できるだけ開業リスクを抑えたい」というケースには、大手学習塾フランチャイズとなるトライプラスがおすすめです。

全国知名度99%を誇る「家庭教師のトライ」のブランドを使って集客を行うことができ、専属のスーパーバイザーに経営の悩みも相談できるため、未経験でも安心して開業することが可能です。

開業の夢を実現させるパートナーとして、ぜひご検討ください。

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